気候変動に関わる仕事へのキャリアチェンジ!
磨いておきたいスキルとは

“学生時代から環境問題への関心が高かった”

“利益追求だけでなく、地球環境の課題解決にも取り組みたいと思っていた”

このブログでは、そのような思いから会社員から非営利セクターへキャリアチェンジを実行された方のお話をご紹介してきました。今回は、キャリアコンサルタントでもある筆者が、キャリアチェンジのために会社員時代から磨いておきたいスキルについてお伝えします。


島谷美奈子 /キャリアコンサルタント

20年以上にわたり人材ビジネス業界にて人材活用支援・キャリア支援に従事。現在は、キャリア開発セミナー講師、職場環境改善推進、企業内キャリアコンサルティングなどに従事。2021年法政大学大学院修了。専門はサステイナビリティ学。国家資格キャリアコンサルタント、プロティアン認定ファシリテーター、プロフェッショナル&パラレルキャリア支援アドバイザー


非営利セクターで重視されるスキル、「主体性」と「業務推進力」

環境問題に取り組む非営利セクター等では、非営利セクターでの就業経験がなくても、募集職種の経験があれば採用される場合もあります。例えば、事業会社でのマーケティングや広報経験を活かし、環境問題に取り組む非営利セクターへキャリアチェンジを行う場合を考えてみましょう。施策の企画から実行までの経験があれば、業界を変えても活躍できそうですよね。

実際に出身業界を問わずに募集している、非営利セクターも多く存在します。そのようなキャリアチェンジの際に問われるスキルの一つが、「周囲を巻き込んでゼロから業務を進める力」である、主体性と業務推進力です。

環境問題では、メディアや政府機関、企業など複数のステークホルダーとの関係をゼロから構築する力や、多くの層へ伝わるコンテンツの企画力、多様なメンバーの協力を得て業務を進める推進力が求められます。事業会社の中で、自分の役割を的確にこなしているだけでは主体性や業務推進力等はなかなか磨かれません。リーダーとしてのプロジェクト推進経験や、トレンドを取り入れた新たな企画の実行等の経験を積んでおくと良いでしょう。

組織内でキャリアチェンジは「環境問題に強い人材」として存在価値を高める

所属する組織の中で、環境問題に取り組む職種への転換を図るケースもあります。

まずは自身でサステナビリティについての情報取集や、学びを深める事が大切です。多くのNGO,NPOや教育機関などが各業界の問題について発信をしていますし、学ぶ機会を提供しています。現在の仕事に関連する課題への理解を深めていくことで、今の組織でできる事を探してみましょう。

例えば、アパレル業界で働いている方であれば、大量廃棄の問題について各部署でできることがありますし、店舗や消費者を巻き込んだ取組みもできるでしょう。生産部であれば製造工程でのCo2排出量や水使用量の削減などにも貢献できるかもしれませんし、デザイナーであれば、リサイクル素材や環境負荷の少ない素材の採用や、無駄のないデザインなどにも挑戦できるかもしれません。

サステナビリティについての知見を増やし、現在の仕事で活かせる機会を探る事で、必ずしも専門部署でなくても取り組めることがあります。実績を積むことで、CSRやサステナビリティ部門への異動もしやすくなるかもしれませんし、環境問題に関わる職種転換も実現しやすくなるでしょう。

まずは、サステナビリティについての知見を深める事。そして、組織内外で環境問題に関心がある方とのネットワークを持つことで「環境問題に詳しい人」だけでなく、「その業界の課題に詳しい人」「他業界との連携に強い人」といった付加価値を付けることを意識すると良いでしょう。

初めて非営利セクターにチャレンジするなら、「アンラーニング力」に注目

キャリアチェンジの前に、まずは副業やプロボノとして非営利セクターでの就業体験をする方法もあります。例えば、WEBサイトの更新業務や、イベント運営、ライター業務など、稼働時間が少なくても関わりやすい業務から参加する方法です。徐々に関わり方を増やして、環境問題に関する調査の分析を担当する、複数のステークホルダーが関わるプロジェクトの事務局業務を担当するなど、プロジェクトのコアメンバーの一人として役割を担うという場合もあるでしょう。そのように非営利セクターの仕事に徐々に関わる場合、意識して獲得していきたいスキルは、「アンラーニング力」です。

アンラーニング力とは、これまでの知識やスキルを意識的に捨て、代わりに必要となった新たな知識やスキルを入れる能力のことです。

企業から非営利セクターへキャリアチェンジした方から頻繁に聞く言葉として、“最初から任せてもらえたことに戸惑った”“それまでの仕事のやり方と異なっていたため最初は驚いた”というものがあります。企業で働いていた際に、担当業務が細分化されていることや、上層部への複数の承認プロセスが存在していることから、キャリアチェンジ後にいざ仕事を任せられると、責任の重さに戸惑うことがあるのです。他にも、社会情勢に応じて大きく仕事の優先順位を変えることが多いことや、タスクよりもミッションベースで仕事を進めるためゴールに向かうための行動は各自に任されていること等、働き方の違いを感じることもあるかもしれません。

そのような時こそ、アンラーニング力を活かし、これまでの経験や考え方を一旦脇に置いて、新たな経験や価値観を積極的に取り入れていきましょう。

環境問題に関わる仕事へのキャリアチェンジのために、スキルを磨いておく

さて、今回は会社員から環境問題に関わる仕事へのキャリアチェンジを考える際に、磨いておきたいスキルについてご紹介しました。

環境問題に取り組みたい、社会へ貢献したいという意欲と、これらのスキルを活かして、キャリアチェンジに挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

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