環境問題や気候変動問題の解決に、仕事として取り組みたいという方が増えています。一般社団法人鎌倉サステナビリティ研究所が運営するHoopus.(フーパス)は、サステナビリティや気候変動問題の解決に特化した求人情報プラットフォームです。このページでは、環境問題の解決につながる仕事の種類や求められるスキル、働き方についてまとめました。

サステナビリティ、気候変動、環境問題の解決を仕事にしたい

国連のグテーレス事務総長が「地球は沸騰化の時代」に入ったと強い言葉で警告するほど、熱波、森林火災、干ばつ、豪雨など、温暖化によって異常気象は珍しいものではなくなり、私たちの日常に、目に見える影響をもたらし始めました。

しかし、気候危機が叫ばれ続けているにも関わらず、温室効果ガスの排出は減るどころか、増えています。私たちが豊かに、安全に暮らせる社会を守るためには、政府や自治体、ビジネスの気候変動対策を、大幅に、そして急速に、加速させなければなりません。

そのためには、サステナビリティや環境問題の解決に繋がる活動に、プロフェッショナルな仕事として関わる人が増えることが必要です。熱意のある人が、培ってきたスキルを活かして力を注げる仕事と出会い、環境問題に取り組めるようになれば、さまざまなセクターで対策を加速させることができるでしょう。

心強いことに、サステナビリティや環境問題を仕事にしたいという方々は確実に増え、そして受け皿となりうる、気候変動対策に繋がる仕事も増えています。

環境問題を仕事にするには、どんな方法がある?

気候変動対策に繋がる仕事には、どんなものがあるのか、見ていきましょう。

1. 非営利団体・シンクタンク

環境問題に特化した非営利セクターの団体やシンクタンクは、気候変動対策に繋がる仕事として、重要な選択肢となりうる職場です。

非営利・非政府の団体は、政治的な利害から独立し、事業の継続や成長よりも活動による社会的インパクトを優先させることができるのが特徴です。

活動内容は団体によってさまざまで、世論喚起のためにメディアへの情報提供を行う団体、企業とパートナーシップを結んで脱炭素の取り組みを加速させる団体、政府や企業へのロビーイングを強みとする団体など、それぞれの独自のアプローチで取り組んでいます。

シンクタンクは研究機関で、調査や分析を通じて予測や政策提言を行います。環境政策や気候変動を専門とするシンクタンクも存在し、ビジネス・金融系シンクタンクの地球環境部門などもあります。政府系シンクタンクから、民間系シンクタンク、または独立型シンクタンクまで、成り立ちやミッションはさまざまです。

この記事の後半では、気候変動・環境問題を専門とする非営利セクターでの仕事について、詳しく解説します。

2. 企業

日本でのCO2排出は、家庭由来が2割で、残りの8割は企業・公共部門によるので、企業の意識や行動を中から変えて、気候変動対策を加速させていくことは重要です。いまあなたが企業で働いているとしたら、社内でサステナブル部門などに携わる方法を検討してみるのも一つの手です。

しかし、経験やコネクションがないと希望する社内異動を実現するのは難しいもの。別の企業に転職するとしたら、事業における温室効果ガスや廃棄物の削減の取り組みに携わるポジションのみならず、再生可能エネルギー事業やリユース・リサイクル事業のように、事業そのものが気候変動対策につながる企業も検討してみるといいでしょう。

環境と社会に配慮した企業としてBコープ(Bコーポレーション)という国際認証を取得している会社を探してみるのもおすすめです。

4. 政府・自治体

社会人でも、経験者採用試験や、公務員試験の社会人試験を受けて公務員に転職することが可能です。2021年には経験者採用試験で198名が国家公務員になっており、地方自体では、2022年に全都道府県政令市の8割で、社会人枠の採用が実施されました。

気候変動に直結したポジションが常にあるとは限りませんが、例えば2023年度の国家公務員の社会人採用試験では、「環境・人権・人道」に関する知識を持つ人などを対象に、「外務省経験者採用試験(書記官級)」を実施しています。

気候変動対策に関して、国家公務員が全国や国際社会の制度やルール作りに関わる仕事だとしたら、国に比べて動きが早い地方自体は、例えば公共の建物や住宅の断熱(省エネ化)を進める、住民が太陽光パネルやコンポスト容器を設置しやすい仕組みを作る、といった生活に密着した気候変動対策を進める役割を担います。

公務員のほか、環境問題と豊かな暮らしへの思いを掲げて、思い切って議員に立候補してみるという選択肢もあります。

5. 個人

すでにある組織に所属する代わりに、個人で事業やプロジェクトをスタートさせる方法もあります。環境負荷の低いプロダクトの開発や普及、生態系を回復させるリジェネラティブ農業など、興味やスキルを起点に、自分らしい気候変動対策に繋がる仕事を考えてみるのもいいでしょう。

環境問題専門の非営利セクターはどんな活動をしているの?

ここからは、環境問題を専門にする非営利セクターについて詳しくみていきましょう。

非営利セクター・NGOの活動内容

温暖化を産業革命前と比べて1.5度までに抑えるという国際目標が共通していたとしても、アプローチはさまざまなので、団体の方針によって活動内容は多様です。

例えば:

そのほか、フィールドワークや、市民に対しての世論喚起など、活動内容は多岐に渡り、こうした活動を組み合わせて行う団体もあります。

非営利セクター・NGOの職種

上記のように活動が団体によりさまざまなので、職種もさまざまです。

気候変動について、日本で活動する非営利団体やシンクタンクの例

クリックするとHoopus.で紹介したインタビュー記事をご覧いただけます。*あいうえお順

FoEジャパン
クライメート・インテグレート
クライメート・ダイアローグ
グリーンピース・ジャパン
350.orgジャパン
自然エネルギー財団
世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
地球環境戦略研究機関(IGES)

非営利セクター・NGOに就職するには?

非営利セクターでは、即戦力になる社会人経験者の採用が一般的です。

学生の場合、インターンやボランティアから職員採用に至るケースもありますが、いわゆる新卒採用という形はとっておらず、そのときに募集しているポジションに応募することになります。

近年、環境問題へのアプローチが多様化し、ファイナンスやESGのスペシャリスト、企業と関係構築する渉外担当など、企業での経験が歓迎されるポジションが増えているので、企業と非営利セクターの間での人財の移動は、今後さらに重要になるでしょう。

非営利セクターでは、ジェネラリストよりも、より専門的なスキルや経験を持った(またはそのようなスキルを身につけられるポテンシャルが高い)人を採用する傾向にあるので、自分がどのような分野でキャリアを進めていきたいか見極めることが大切です。

経理や人事、ITなどバックオフィスの仕事も、企業での経験を活かして非営利への転職が可能です。

非営利セクター・NGOの規模

数人の少数の団体から、世界で数千人にもなる国際団体まで、団体の規模はさまざまです。国際団体の日本支部の場合もあれば、日本国内で生まれた団体もあります。団体1つひとつの規模に関わらず、非営利業界では、その団体だけで独自に活動していることは稀で、複数の団体とアライアンスを組んだり、海外とのネットワークを持ったりして、連携して活動しているケースが多いです。

非営利セクター・NGOで求められるスキル

気候変動に直接関わる仕事に就くにあたって、気候変動の知識を心配する方が多いかと思います。しかし気候変動に関する知識よりも、リサーチや広報、マーケティング、ファイナンスなど、ポジションにあった経験や業界の知識の方が重視される傾向にあります。

国際会議や企業の動向、または世界の異常気象など、気候変動に関する外部の状況にレスポンシブに反応して動くことが多い非営利セクターでは、スタートアップ企業のような自主性や機動力が求められます。

国際的な職場環境で働いた経験やビジネスレベルの英語があるとベターとされるケースが多く見られます。

非営利セクター・NGOの給与・待遇

給与や待遇はポジションや団体によってさまざまです。

Hoopus.で紹介している求人で給与のベースラインや参考が公開されているポジションの例(2023年9月現在)

「非営利セクターの給与水準は低いのでは?」という懸念があるかもしれませんが、こうしてみると、必ずしも企業と比較して給与水準が低いとは言い切れません。

世界的にも、リモートワークを推奨したり、サバティカル休暇を取得できたり、魅力的なベネフィットを用意している団体もあるようです。

Hoopus.がサステナビリティと気候変動を解決する仕事への転職をサポートします

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出来る限り利用者の方お一人おひとりと面談させていただき、気候変動問題へ取り組みたいという想いに寄り添うことを心がけて、団体様とのマッチングをお手伝いさせていただいています。

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