【PICK UP INTERVIEW vol.5】環境問題の最先端で、政府や企業に働きかける「キャンペーナー」という仕事 グリーンピース・ジャパン 高田久代さん

Hoopus.(フーパス)は、鎌倉サステナビリティ研究所が運営する、サステナビリティと気候変動問題の解決に特化した求人サービスです。PICK UP INTERVIEWでは、気候変動解決に関わるお仕事情報をピックアップ。それぞれの団体で働く人々の熱い想いや職場の雰囲気をお伝えします。

今回は、気候変動を軸にさまざまなキャンペーンを展開する国際環境NGOグリーンピース・ジャパンのプログラム部長(編集注:取材当時)の高田久代さんのインタビューをお届けします。あまり馴染みのない「キャンペーナー」とはどのような仕事で、どのような素質が求められるのか、高田さんにじっくり伺いました。

※この記事は、2022年7月の取材をもとに2023年12月に一部編集を加えたものです。本文中にある肩書き・組織説明・制度内容などは最新のものと異なる場合がありますのでご了承ください。


国際環境NGOグリーンピース・ジャパン 高田久代さん

まずは、グリーンピース・ジャパンの働き方やメンバーについて教えてください。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、企業や政府に働きかけるキャンペーンを軸に活動しています。グリーンピースは国際団体で、55以上の国と地域で活動していますが、日本には、現在約40人のスタッフがいます。

部署は3つに分かれていて、私が所属する、環境保護活動を企画して実行していくプログラム部、個人会員の方を増やしたり活動内容を会員や一般の方へ発信したりするファンドレイジング&エンゲージメント部、人事、財務、総務などのバックオフィスを担当する組織部の3つがあります。その中で一番大きいのが、プログラム部です。

年齢層は20代から50代までいますが、30〜40代のスタッフが多いです。フルタイムやパートタイムのスタッフだけでなく、業務委託やインターン、ボランティアも一緒に活動しています。

さまざまな世代が一緒に環境問題に取り組むグリーンピース・ジャパン2019年12月撮影、(c)Greenpeace / Masaya Noda

現在はリモートワークが基本ですが、パンデミックの前から、すべてのスタッフは週1回自宅勤務が認められていました。当時は、仕事の内容によって自宅勤務しづらい職種もありましたが、現在は全てのスタッフが自宅から勤務できるようになり、パンデミックが終わったあとも、オフィス勤務とリモートワークを組み合わせた、ハイブリッド型の働き方にしようという方針が出ています。

部署によって多少の違いはありますが、働く環境はとてもインターナショナルです。キャンペーンの企画・実行を担当するプログラム部では、業務の半分以上は英語ですし、リモートで海外からチームに参加しているメンバーがいるのが珍しくなく、みんな何らかの形で海外のスタッフと繋がっています。また現在は、台北、ソウル、北京、香港、東京にあるグリーンピースのオフィスが、東アジア地域として連携を強化し、たとえばキャンペーンを一緒にやったり、人事担当が協力しあったりしています。

グリーンピースで大切にされている価値観はありますか?

国際NGOとして、環境問題の最前線にいるだけでなく、働き方やカルチャーでも最前線でありたいと思っているので、ダイバーシティ&インクルージョンを大切にしています。

さまざまなバックグラウンドを持っているスタッフ、ボランティア、インターンと一緒に、多様性を活かして働くことを非常に重視しています。レインボーパレードへの参加や世界女性デーの休暇取得など、さまざまな性自認の人が参加できる団体を目指した活動もありますし、子どもがいる、パートナーが海外にいる、家族の介護や看護が必要、などさまざまな人がいる中で、どうしたらできるだけ多様性を活かして、本来持っている力を生かしてやっていけるかを考えています。産休育休は絶賛奨励されていますし、サバティカル休暇制度もあります。

(c)Greenpeace

高田さんが務めるプログラム部長、そしてプログラム部とはどんな役割でしょうか?

プログラム部長は、グリーンピースが日本で実施するキャンペーンの統括をする仕事です。どんなキャンペーンをするか、いまどのキャンペーンを押し出すかを考えたり、チーム間のコーディネーションをしたり、広報担当や調査担当などのキャンペーンを横断でサポートするスペシャリストをマネージして一緒に計画を作ったりしています。

グリーンピースは気候変動にあらゆる方向から取り組むことが柱になっていますが、日本社会の中でのグリーンピースの強みと弱みを踏まえて、今何をするべきなのか考えます。車や使い捨てプラスチックなどの活動分野はもちろん、政府に働きかけるか、企業に働きかけるのかというキャンペーンのアプローチ、そしてキャンペーン対象の企業を批判することで動かすのか、更なる改善を追求するリーダー競争としてライバル社と比較する手法をとるのかといったキャンペーン戦略を、チームメンバーと相談しながら意思決定していくのが私の仕事(取材当時)です。

「キャンペーナー」はNGO独特の職種だと思いますが、仕事の内容や必要なスキルについて教えてください。

キャンペーナーとして求められることとしては、まず戦略的思考です。

コンサル企業のコンサルタントをイメージしてもらえるといいと思いますが、課題を認識して、ゴールを設定し、誰にどう働きかけるために、自分たちはどう動くべきなのか分析し、実行することが主な役割になるからです。そして、企業や政府のとる方針のどこがさらに改善できるのかという批判的な思考も重要です。また、たとえば国会はどんな仕組みになっていて、経団連はどんな組織か、というような、必要最低限の世の中の理解も必要です。

そして、世の中の動きに合わせて戦略も変更しながら進めるため、スピード感や柔軟性が求められます。チャンスを捕まえて、「だったらこうやってみよう」というように、変化をポジティブに感じられる方がマッチング度は高いと思います。

言語面では、両ポジションともビジネスレベルの英語が必要です。海外のメディアからインタビューを受けますし、海外の同僚と事実確認することも多く、また連携している東アジア地域のメンバーとも英語で話します。同時に、日本語のコミュニケーション能力も非常に重要です。企業や政府の担当者、メディアに対して、どういうふうに伝えるべきかを考えて判断できるマインドセットとスキルを持った人を歓迎します。

2014年東京の外国人記者クラブでの記者会見にて

今後、どんな方にグリーンピースに入ってきてもらいたいですか?

私は、グリーンピースに入って約13年になりますが、もともとはボランティアだったんです。

中学生くらいの時から環境問題を仕事にしたいと思っていたのですが、社会のことをもっと理解してからにしようと思い企業に入社しました。でも、体調を壊し入院してしまって、やりたいことをやらないとと思ってその会社を退職し、体調を治しながらニュージーランドにワーキングホリデーに行きました。そこで現地の廃棄物関連のNGOに飛び込みボランティアをしました。

渡航前に、グリーンピースが翻訳・監修した『ゴミポリシー』という本を読んで、その本に載っていた問い合わせ先に連絡したのが、グリーンピースと出会ったきっかけです。事務所を訪ねて、その場で寄付会員になって、ボランティア登録しました。その後ワーキングホリデーでボランティアをしていたNGOでの勤務を経て、本格的にグリーンピースに関わるようになりました。

2004年沖縄に停泊中のグリーンピースの船内にて

環境問題を仕事にしたい、環境問題解決のために働きたい、と思う人がいたら、まず躊躇わず書類を送って欲しいと思います。

たとえスキルとしてマッチしていない人でも、根本的に重要なのは熱意だと思っているので、ぜひ、ご自身の強みをアピールして売り込みをかけていただきたいと思います。


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