気候危機時代のキャリアデザイン 非営利セクターの役割・求人トレンドは?

「サステナビリティや気候変動に取り組む仕事に転職したい」これまで培ってきたスキルを活かして、仕事として気候変動に取り組みたいという人が増えています。

NGOなどの非営利セクターは、気候変動への取り組みで重要な役割を果たしています。気候変動問題への取り組みそのものにコミットした活動ができるため、気候変動に直接関わる仕事がしたいと考える人にとっては、転職先の候補として検討したいセクターです。

サステナビリティや気候変動問題に特化した求人プラットフォームであるHoopus.(フーパス)が、非営利セクターの役割、職種、そして求人トレンドについて解説します。

この記事でわかること
・気候危機における非営利セクターの役割
・非営利セクターのアプローチ
・非営利セクターの人財・求人トレンド
・非営利セクターの職種

非営利セクターは気候変動対策における重要なアクター

非営利セクターは、気候変動対策において欠かせない重要な役割を果たしています。政府・企業・非営利セクターは、気候変動対策のアクターとして影響を与え合ってます。

政府は、NDC(国が決定する貢献)と呼ばれる温室効果ガス排出削減目標を定めたり、カーボンニュートラル宣言を出して国内の脱炭素の機運を高めたり、企業が省エネや再生可能エネルギーの導入を進めやすいような施策を実施したりして、政策・制度面から気候変動対策の枠組みを作ります。

企業は、サプライチェーンを含む事業活動を省エネ化・再エネ化して脱炭素化を進めたり、新技術を開発・導入したりして、実質的に排出される温室効果ガスを減らすアクターです。

しかし、政府と企業だけでは、1.5度目標(温暖化を産業革命前と比べて1.5度までに抑えるという国際目標)を実現するために十分な対策がなされることを担保することが難しいのが現状です。実際、2023年時点の各国政府の温室効果ガス削減公約では、今世紀中に地球の平均気温は3度上昇すると指摘されています。1.5度目標を大きく超えて、後戻りできない複数の破滅的な悪影響を招く恐れがあると、科学者は警告しています*1

1.5度目標を守るためには、政府とも企業とも違う、独立した立場にある非営利セクターの視点や働きかけが重要なのです。

社会のOSをアップデートする役割を果たす

非営利セクターは、通常通り(Business as usual)にあろうとする社会に対し、悪化する気候危機の現実に向き合い、気候危機を緩和・適応できるような社会OSをアップデートする役割を果たしています。

政府や企業の変化を加速させ、1.5度目標を実現できる対策が取られるようにモニタリングし、もし整合しない行動がとられそうな場合見直しを促します。

そのために、政府や企業の気候変動対策の現状を明らかにし、不十分な場合は指摘をしたり、1.5度目標を達成するためにはどのセクターがどのようにどの程度変わらなければならないのかという調査してシナリオを描いたりします。そして、国際的に連帯し、科学的根拠に基づいた情報を用いて政府や企業への協力や助言を行い、何が必要かという指針を示していきます。

非営利セクターが目指す5つの転換

1.5度目標に整合する社会を作るためには、様々なレイヤーでの変革が必要です。

気候変動に取り組む非営利セクターには様々な団体があります。それぞれの団体は規模も様々で、アプローチもそれぞれですが、強みを活かして、1.5度に整合する社会を作るという目標に向かって活動しています。ほとんどの団体は他の団体と協力体制を築いており、それぞれのお互いの強みや役割を理解して協力しあっています。

たとえば、金融に関する調査や分析、金融セクターのエンゲージメントに強みのある団体なら「金融の転換」にフォーカスし、エネルギー政策に関する調査・分析やトランジションのためのシナリオなどに強みのある団体なら「政策の転換」にフォーカスするなど、集中した活動をする場合もあれば、複数のチームがある大きな団体なら、複数のレイヤーに跨って様々な活動を展開することもあります。

非営利セクターのアプローチ

非営利セクターの活動として、特に気候変動への取り組みとして、どのようなイメージが思い浮かぶでしょうか。バナーを掲げて街頭に立つデモや、寄付活動、SNSでの情報発信など、目につきやすい活動がイメージされるかもしれません。実際には、気候変動対策において政府や企業と並んで重要な役割を果たしており、様々な活動を展開しています。

このように、非営利組織のアプローチは多岐に渡ります。もちろんここに挙げているものに限らず、時代や対象に応じて効果的な活動が開発されていくでしょう。非営利セクターの活動としてイメージされやすいデモやSNSの情報発信、イベントなどの目につきやすい活動は、このような様々なアプローチの一部であることがわかります。

非営利セクターの人財・求人トレンド

気候変動に関する非営利セクターの活動は近年、大きく変化しています。

気候変動に関する非営利セクターの活動は、『気候変動対策をしなければ社会・経済・自然環境が破綻する』という共通認識を作る段階が長く続いていました。しかし、2015年のパリ協定以降、気候変動についての認識は世界的に大きく前進しました。日本では、2020年のカーボンニュートラル宣言によって、気候変動を抑えるためには脱炭素が必要だという認識が大きく広がりました。

この変化に伴って、非営利セクターの役割もシフトしました。1.5度目標を達成するために、何を・どの程度・どのように変えるか、どのアクターに・どのように働きかけるかを戦略的に考え、実行していくことがより重要視され、以前よりもさらに企業や政府との協力・連携が必要とされています。

そのために、日本独自の社会・経済的文脈から生じているギャップを埋めるために国内で新たな団体が立ち上がり、企業や政府の担当者と同じ言葉で話すことができ、信頼を得て行動を引き出せる他セクター出身の人財のニーズが高まってきています。

さらに、国際団体も日本での活動を強化する傾向が高まり、日本で活動できる人財のニーズが高まっています。日本は歴史的な温室効果ガスの排出責任に対して削減目標が消極的な上に、鉄工業や自動車産業など、国際的にも影響力の大きい多排出産業が主産業です。日本の削減目標・再エネ目標の引き上げ、産業のトランジションが、世界的に大きな影響がある一方で、非営利セクターの活動は欧米に比べて規模が小さいため、日本における活動に力を入れていきたい団体や基金が多いのです。
専門性を持つ人財のニーズが高まり、待遇は改善傾向に

その結果、求人トレンドとして3つの変化が見られます。

待遇については、団体によってかなりばらつきがあります。企業に引けを取らない条件を提示している団体も出てきているものの、企業より給与額が低い場合もあります。その代わりに、トレーニングが充実していたり、長期休暇が取りやすかったり、サバティカル休暇のようなリフレッシュ制度を設けているなど、インセンティブを設けている団体もあります。また、活動を長く続けていくために、バリューシェアリングの時間を頻繁にとったり、スタッフのメンタルヘルスのサポートを用意したり、働き方の多様性を認めたりする団体も見られます。

非営利セクターの職種カテゴリー

これまでHoopus.で紹介した、気候変動に取り組む非営利セクターの100以上の求人情報を分析すると、この8つに分類されます。非営利セクターならではの仕事もある一方で、企業と似ている職種も多く、企業で培ったスキルをスライドできるものもあります。

非営利セクターのお仕事カテゴリーと適性については、こちらの特設ページをご覧ください。

気候危機時代のキャリアデザイン

このように、非営利セクターでは近年、求人ニーズが高まり、以前よりもさらに専門性を発揮できるエキスパート職、企業など他セクター経験者のニーズが高まっていることがわかります。

政府・企業・非営利セクター間の人財の交流や転職が、それぞれのセクターの気候変動への取り組みを促進し、1.5度目標に向けて歩調を合わせた効果的な気候変動対策を実行することにつながります。

これまで身につけたスキルを使って、「仕事」として気候変動に取り組むという選択をしたいという方は、ぜひ非営利セクターへの転職も視野に入れて、キャリアデザインしてみませんか?

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Hoopus.(フーパス)は、サステナビリティや気候変動問題の解決に特化した求人情報プラットフォームです。気候変動問題へ取り組みたいというあなたの想いに寄り添って、団体様とのマッチングをお手伝いさせていただいています。

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